1800年代後半頃にフランス時計産業の中心地・Besançon(ブザンソン)で作られたレディースの懐中時計です。珍しい作りで輪っかの部分が360度回転するペンダントウォッチとして作られています。カラット刻印は有りませんが鷲の頭の刻印があり、フランスの試金所で厳正に純度検査されたフランス製のK18以上の金製品に見られる国指定のものです。(日本製貴金属に見られる造幣局が刻印する日本国旗のようなイメージです。)こちらは10年ほど前にパリの骨董店にて当時45万円くらいで購入しました。大きさは百円玉とほぼ同じサイズで、機械に至っては一円玉とほぼ同じサイズという極小の時計に18金のケースにはエナメル(七宝)で婦人図を表情が分かるほど細かく綺麗に焼き上げ、ケースには細かく彫金も施された逸品です。加えて、絵の周りにはラフカットのダイヤモンドが4つも入っています。当時は女性が時計を持つということが上流階級の嗜みとされ、大富豪がこぞって贅の限りを尽くして宝飾時計を作らせたと聞きます。K18などの刻印がなく、初めから製品としての販売ではなく特注品と考えられこれもその1つなのでしょう。機械は稼働中で当時の高級機械が入っていますが、日差が3分以上出ており実用にはOHが必要ですが小型機のため元々そこまで精度が出る物ではないのでこのままでも楽しめます。この絵に描いたような貴婦人の持ち物だったのでしょうか(^^)アール・ヌーヴォー期の芸術の円熟さ、華やかさを感じますね。ご縁の有る方をお待ちしております。カラー···ゴールド文字盤形···ラウンド・丸形ムーブメント···手巻き式